不起訴処分通知から起訴、有罪判決

2018年09月25日 · 未分類

平成25年4月、東京都町田市で当時17才の少年が運転していた普通自動二輪車が、急ブレーキの末に転倒し、死亡する痛ましい交通死亡事故が発生した。

少年の自損転倒事故か、脇道から出て来た乗用車がバイクの急ブレーキ転倒の原因作ったのか、その判断が問われる難しい事件だった。

検察官は当初から警察官作成の実況見分調書等を基本に、乗用車の運転手を不起訴処分としていた。

当社は東京弁護士会高橋正人弁護士、ご遺族と協力し現地調査と実験を行い、実況見分調書の不備を説明し、乗用車の運転手はバイク転倒の原因を作っており、刑事責任を課すべきという報告書を自信を持って作成した。

自動二輪車が関わる事故、実況見分調書など捜査書類が問題となる事件は白バイ乗り、覆面パト乗り出身で交通事故捜査係を経験している当社の最も得意な分野である。

その後、数人の検察官を経由し、警察の再捜査を経て乗用車の運転手は起訴された。
その判決公判が9月21日、東京地裁立川支部であり、被告人に懲役1年6月執行猶予4年の判決がでた。

繰り返される不起訴処分の回答に粘り強く挑んだご遺族と高橋弁護士には本当に頭が下がる思いだ。
何より不起訴から起訴へと方向変換した検察官がよくやってくれたと思う。

実況見分調書など開示を受けても見よう見まねでどうこう言うものではない。

発生した交通事故捜査はまさに実務家レベルの分野で、交通安全施策を研究する学問の世界とは全く違う。

自らがそれぞれの事故車両の特性を体験し、混沌とした事故現場に第1臨場して処理してきた経験と練度が生命線である。

栃木県でも全く同種事件を抱えているが、工学という学問、学者や肩書きに捉われず、実務を信用する検察官が現れ、早く起訴になればいいと毎日、血痕が付着して破損した被害者のヘルメットを見て仕事をしている。

当社は依頼先の意向に事件をまとめ上げる御用交通事故鑑定社ではない。

分からず屋とか、真剣にやれとか罵られることもあるが、被告人は無罪を主張する時もあるし、被告人は有罪を主張することもある。
そしてその判断は、依頼人の意見ではない。

プロの職業人として、誠実に事件全体に取り組む自分自信である。

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