横断歩道での交通事故

2012年07月22日 · 未分類

横断歩道に関することは道路交通法第38条に規定されています。「横断歩道等」とは横断歩道又は自転車横断帯で、横断歩道は道路標識又は道路標示によって歩行者の横断に用に供することが示されている道路の部分です。自転車横断帯は道路標示等で自転車の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分です。横断歩道と自転車横断帯を合わせて横断歩道等と言います。自転車は車両等ですから乗ったまま横断歩道を渡ることはできません。自転車を押して歩けば横断歩道を歩行している歩行者となり、法律により保護されます。自転車は自転車横断帯がある道路を横断している時に保護されます。
道路交通法第38条は、車両等の運転者は横断歩道等に歩行者や自転車がないことが明らかな場合を除いて徐行義務と歩行者と自転車があった場合の一時停止義務を定めています。要するに車両等は横断歩道等に全く人がいないことが明らかな時はそのまま進行してかまわないけれども、横断歩道等の周辺に歩行者や自転車がいたら徐行し、歩行者や自転車が明らかに横断歩道等を横断しようとしている時は一時停止してその通行を妨げてはいけないといっているのです。このような意味で横断歩道等は歩行者と自転車にとっては正に聖域と言われてます。しかし、この聖域が絶対安全が保障された場所かという問いに対しては悲しいことにそんな保障はどこにもありません。それは全て車両等の運転手が法に定められた運転を実行しているかに全てがかかっているからです。私たちも車を運転し道路を走ると目的地に着くまでたくさんの横断歩道を通過します。横断歩道に接近すると、「あれ、あの人は渡るのかな?」と疑問に思う時があります。そんな時、疑問に思いながら車を進行させてしまってはいけないのです。手厚く歩行者等を保護してあげることが横断歩道等の目的ですから十分徐行して、あるいは一時停止して横断歩行者の絶対安全を確保してあげなければなりません。交通弱者や歩行者と車両が共存している交通社会とはそういうものだと思います。
ところで、横断歩道等は誰が決めているのでしょう。もし、交通事故の現場が横断歩道等であるなら、よく見かける道路にゼブラ模様のペイントがあれば横断歩道であると軽信してはいけません。「えーっ、何で?」と思うでしょう。法38条によって横断歩道等が保護されるためには、都道府県公安委員会が「この部分を横断歩道とします」という趣旨の公安委員会意思決定(通称は告示といいます)がされていることが大前提です。例えば町内会などで勝手に道路に横断歩道を書いてもそれは法律で保護されている横断歩道とは言いません。公安委員会の意思決定がなされていないからです。国道や県道、市町村道など道路管理者がしっかり管理している道路にある横断歩道であっても注意が必要です。それはこれだけ数多く存在する横断歩道を全て落ち度無く管理するということは非常い難しく、公安委員会の意思決定手続きをするのを忘れてしまって何年も放置されたままになっている横断歩道というのが結構多く存在しているのが実情だからです。横断歩道を道路に書いたけど、公安委員会の意思決定手続きをしなかったという人為的ミスによるものです。警察署交通課規制係などの2~4人程度の少ない警察官が管内の交通規制を担当してますが、横断歩道、一時停止標識、信号機、転回禁止、はみ出し禁止、一方通行、駐車禁止場所、最高速度など多種多様な全ての交通規制を管理することは不可能といっても過言ではありません。これらの規制標識は必ず例外なく都道府県公安委員会の意思決定がなければ効力はありませんので、標識が関連する交通違反や交通事故ではまず公安委員会の意思決定がどのようになっているかを確認しなければなりません。
公安委員会の意思決定が無い横断歩道を渡って交通事故に遭ってしまうと、運転手側は正式な横断歩道ではないと主張するだろうし、歩行者側は意思決定の有無に関わらず、横断歩道が書かれていなければその場所を横断しなかったと主張することになり、不必要な労力を強いられます。もし、横断歩道等が交通事故の発生場所になっている方であれば間違いなく都道府県公安委員会が意思決定をしている横断歩道であることの確認を発生から早いうちにしっかり行い安心しておくことは大切だと思います。

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