俳優の萩原流行さんが4月22日、東京都杉並区内でオートバイを運転中に転倒して死亡する事故が発生した。
オートバイ好きとしてとても残念な結果である。私自身、オートバイで転倒したこともあれば、ツーリング中に友人が目の前で転倒した状況も見ている。
現職中はオートバイが転倒した死亡、重傷事故も取扱いがあり、また交通事故調査業を始めてからもオートバイの転倒事故はたくさん取り扱っている。
二輪のオートバイはバランスを崩すと転倒につながる乗り物で、転倒は二輪車の宿命かもしれない。
ところで萩原流行さんの死亡事故で、警視庁交通捜査課は4月23日、転倒後に後続の乗用車に轢かれる直前、警視庁高井戸署の護送車に接触していた疑いがあると発表した。
警視庁護送車と聞いて、私はまた特別な思いを巡らす。
ホームページのトップページから私のプロフィールに入っていただければお分かりのとおり、私が宮城県警察を退職する直前の所属が宮城県警察本部警務部留置管理課護送班であり
日々、警察署と検察庁、裁判所へ被疑者、被告人を護送していた。
それゆえに護送勤務中に何等かの事故を認知した場合の護送員として、あるいは護送責任者、護送車運転手として取るべき行動が気になってしまう。
報道発表によれば護送車は被留置人の診療護送中であったようで、事故を認知した場合、いかにして被護送車の逃走防止を図りながら警察官として最低限の現場処理を行うかが問われる。
警視庁交通捜査課の発表では、現場は片側3車線の直線。萩原さんはオートバイで真ん中の車線を走行中に何等かの原因で転倒し、同方向に進行していた護送車と接触した後、乗用車に轢かれて死亡したとみられる。護送車の右側前輪付近と乗用車の左前輪部分に接触痕が残っていた。
同課は護送車運転手の警部補と乗用車の運転手を自動車運転処罰法違反(過失致死)の容疑で事情聴取している。
当時、護送車には警部補警察官と高井戸署員2人、被護送車1の計4人が乗っていた。
同課の調べに対し護送車運転手の警部補は「車線変更後、ドンと何かが転倒するような音が聞こえた。バイクに当たった感触はなかった」と供述している。
二輪車の特性をよく理解している交通事故捜査係員が事故(転倒)原因を捜査すれば、
護送車の車線変更と護送車右前輪の衝突痕跡から比較的容易に事故の原因推定は可能だと思う。
萩原流行さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。