少し古いニュースだが平成25年11月24日、宇都宮中央警察署の駐車場で酒に酔ってタクシーを暴走させたとして道路交通法(酒酔い運転)と窃盗の容疑で43歳会社員が警察官に現行犯逮捕される事件が発生しました。
事件の概要は、43歳男性がタクシー内で泥酔して寝込み、困った運転手が宇都宮中央警察署に相談に行ったのです。運転手がエンジンをかけたままタクシーを離れ警察署に入った隙に男はタクシーを運転、駐車場内にとめてあった
乗用車は柱に衝突する自損の交通事故を起こしたものです。
この事件について男は酒酔い運転の現行犯で逮捕されたのです。
警察署の駐車場内で飲酒運転したのだから現行犯逮捕されても当然と思われがちです。
しかし12月18日、宇都宮地方検察庁はこの男を不起訴処分としました。
警察署であっても駐車場は公道ではないので、道路交通法は適用にならないという判断です。
多くのマスコミやニュースを見ていると、「酒に酔ってタクシー暴走させても不起訴、宇都宮地検」などの標題で、あたかも検察官に正義を貫く意欲が無いような捉え方で報道しております。
私は、飲酒運転を容認するつもりなど全くありません。飲酒運転はどんな理由があろうとも絶対に許されるものではありません。
しかし、この事件については男を道路交通法違反容疑で現行犯逮捕した宇都宮中央署警察官の処理が極めて危険な行為だと思います。
警察署のような囲繞(門扉や塀などで周囲を囲まれている)された駐車場内では、どんなに法令を解釈しても道路交通法は適用になりません。これは警察官であれば交通法令違反を取締る「いろはのい」であり
最も基本的なことです。
道路交通法の目的は「道路における交通の安全と円滑を確保すること」ですから道路性が失われている私有地、駐車場などは無免許運転も飲酒運転も適用することはできないのです。
繰り返しますが私は決して飲酒運転を容認しているものではありません。
私が大変恐れているのは、このような基本的な道路交通法の適用条件を警察官は当然熟知しているはずであるのに、
駐車場内での飲酒運転は道路交通法が適用にならないと知っていながら、警察官は道路交通法を適用して男を現行犯逮捕した捜査処理方法です。
罪刑法定主義、法治国家において法令違反にならない行為を、警察官が人の身柄を逮捕して拘束することが当然のごとく行われたら
それは飲酒運転と同様に、大変危険で恐ろしい、許されない行為です。
男を逮捕した警察官、その警察官の逮捕行為を審査した上級幹部、事件を送致した警察署長など
当然、このようなことを吟味したはずで
逮捕されるには、報道では明らかにされている逮捕されるなりの他の理由があったのかもしれません。
しかし、道路交通法違反容疑で現行犯逮捕した判断の正当性は当然弁明すべきと感じます。
もちろん、この事件で公道から駐車場に入って来る状況を警察官が見ていたのなら、公道を走行していた時点を捉えて現行犯逮捕は当然できます。