事故調査で新潟県燕市に来ております。空気が痛く感じるほど冷たく、路面も凍結してまそた。
調査現場に向かう途中、燕三条駅前を歩いていたら「一時停止標識」の手前から圧雪、凍結しており満足に人も歩けませんでした。
さて、皆さんも一緒に考えてみましょう。
一時停止停止線の前で止まろうと思いブレーキをかけました。
すると車は凍結路面のため滑走して交差する道路へと進入してしまいました。
そこへ交差道路を直進してきたバイクが衝突する交通事故が発生しました。
この時、車の運転手の過失と違反行為はどうなるのでしょう?
要は一時不停止違反が成立するのか?という問題です。
もし仮にバイクの運転手が死亡した場合、ご遺族の立場として車の一時不停止が原因だと言えるのか?
自動車事故が「過失」とされるいい事例です。
一時不停止違反は過失でも処罰される違反行為のため標識を見落として一時停止をしなかった場合でも処罰されます。
しかし、事例の運転手は一時停止標識の停止線の手前で止まろうとしてブレーキをかけているので、路面さえ凍結していなければしっかり停止することができたし、交通事故も未然に防止できたのです。
このような場合、運転手に一時不停止の責任を課すことは出来ません。事故の原因が運転手の一時不停止であると言えないのです。
それなら事故の原因は何なのか?道路の凍結が原因でだから、凍結を放置していた道路管理者の責任であり車の運転手は無過失でしょうか?
それも違います。
車の運転手は冬場、周囲に積雪が認められたり気温が低い環境の道路を走行する際は、路面が凍結してブレーキを踏めば滑走することを予め予見して、車を滑走させないようなブレーキ操作や安全速度で走行する注意義務を負っているのです。その中には冬タイヤを装着することも当然含まれます。
つまり事例の場合、自動車の運転手としてはブレーキを踏めば滑走することを予見して運転するべき注意義務があるのに制動効果を過信してこれを怠った過失により、自分の車を操縦不能の状態に滑走させたという事故原因の捜査結果になります。
一時不停止違反の立証が捜査目的とならないので、仮に報道関係者やご遺族が一時停止違反を捜査しないと訴えても警察としては適正捜査を行っているとなるのです。
もちろん一時停止違反行為を立件しないからといって運転手に対する刑事責任が軽くなるということもありません。
捜査側がどの過失行為を立証しようとしているのかを読み取ってみることも大切だとおもいます。