1月18日のブログでは、簡約特例書式の被疑者供述調書について述べ、1月19日は簡約特例書式の見分状況図について述べました。
今回は簡約特例書式の被害者供述調書を取り上げてみます。
簡約特例書式とは事故原因や違反の内容が軽微で、尚且つ怪我の程度が比較的軽傷の事故を効率的に処理することを目的に定められた交通事故捜査処理です。
一般的には、怪我の程度が「2週間と2日以下」の診断書が出された交通事故です。あるいは信号機の赤色点滅無視を伴う違反や、指定場所一時不停止を伴う違反がある場合などは怪我の程度が「3週間と2日以下」の交通事故です。
この簡約特例書式で処理される交通事故は検察官に事件を送致しますが、原則的に被疑者は自動車運転過失傷害罪で処罰されることはありません。
あくまでも刑事罰を受けないということで、安全運転義務違反などで行政処分はしっかり加点されることになります。
簡約特例書式の被害者供述調書は極めて簡単にまとめられた書式となっています。虫食いを埋めレ点を入れると90%が完了です。
簡約特例書式の被害者供述調書で、最も気を使うところが
5.相手方( さん)の処罰は、□望みません。 □お任せします。
の部分だと思います。
単純偶発的に発生し被害程度が極めえ軽微な場合、特別相手方運転手の処罰を望む人は少ないと思います。また、普通に人は相手方の処罰をどうすべきか分からず、ほとんどは警察にお任せしますというところに落ち着きます。
警察としては、交通事故の被害者も特別被疑者の処罰を望んでいないことを明らかにして事件を検察官に送致するのです。
ところが、中には事故現場で相手方とトラブルになり、許してあげようと考えていたのに急に被害者感情として怪我の程度がいかに軽傷でも相手方の厳重処罰を望みたいという人もいます。
そのような被害者感情をお持ちであれば、はっきりと供述調書を作成する警察官に告げてもかまいません。
被害者が相手方に対して厳重処罰を望んでいるわけですから、警察としても相手方を処罰する方向で書類を作成していかなければなりません。
ただし、やみくもに被害者感情を優先させると、日常的に発生している簡易な交通事故の運転手がどんどん刑事罰を受けることになるため
いかに被害者が厳重処罰を望んだとしても、怪我の程度が「受傷日から起算して1週間と3日以上いの事件(2週間と2日以下の安全運転義務違反を除く)」という条件を付けています。
簡単に言えば相手方が一時不停止違反をして交通事故に遭い、その結果全治10日の通院加療の見込みの診断書が出たとします。
すると、本来は簡約特例書式が適用になり運転手は刑事罰を受けることはないのですが、被害者が運転手の処罰を望んだ場合は簡約特例書式が適用にならず
刑事罰を対象とした「特例書式」で処理を進めることになるのです。
単純軽微な交通事故では殊更に相手方とトラブルになって被害者感情を逆なですることは得策ではないかもしれません。
そうはいうものの、やはり被害者感情よりも交通事故では診断書の内容が極めて重要な要素になっているのです。
ところで簡約特例書式は極めて簡単に仕上がるように工夫されていますが
交通事故当事者から聞くないようのほとんどば網羅されていることに変わりはありません。
一般に20~30ページも要する供述調書をA4の用紙1枚にまとめたのですから、
この書式を考案した人は相当に優秀な方だと常々感心しております。