青森県警は2月7日、運転免許証の有効期限が切れた無免許状態でパトカーを運転したなどの理由で、交番勤務の20代男性巡査を道路交通法違反の疑いで青森地検八戸支部に書類送検し、減給10分の1(6ケ月)の紹介処分にしたことを発表した。
巡査は同日依願退職している。
青森県警の発表では、巡査は昨年10月から12月中旬の間、無免許状態であることを知りながら4回にわたりパトカーや私有車を運転した。
警察官がパトカーを無免許運転だから弁解のしようがない。いったい取締り機関として成立しているのかを疑うお粗末さである。
ところで、この事件の報道について新聞各社の見出しに
「パトカー無免許運転、巡査を書類送検・・・更新忘れ」とある。
「更新忘れ」、これはいわゆる「うっかり失効無免許」と言い刑罰の対象にはならない。
分かりやすく言えば、運転免許証の有効期間が過ぎていることをすっかり忘れてしまって車を運転中、警察官の検問を受けた。その時、警察官から有効期限が切れていることを指摘されて初めて有効期限切れに気付いたような場合である。
この場合は、無免許運転として処罰されないのである。
これに対しパトカーを無免許運転した青森県警の警察官は、県警発表でもあるとおり「無免許状態にあることを知りながら」パトカーを運転していたのだから立派な故意犯で、更新忘れなどという類のものではない。
私が現職中は、このような有効期限切れの無免許運転は極めて悪質性の高い運転行為として対応してきた。
特にこの巡査は、上司から免許更新について聞かれた時は「更新した」と嘘をつき、さらに私有車両を公務で使用する際の私有車両公務使用申請書にも、免許更新をしたように偽って申請書を作成しており過失犯とされる更新忘れなど、報道発表する側も報道する側も事実に即していないものだと感じる。
無免許運転違反の取締りというものは一般に知れ渡っているほど容易いものではない。
うっかり無免許や車種外無免許とそれぞれに故意犯と過失犯の判断をしなければならない。
それでも、有効期限切れでも運転免許証を持っていれば、少なくても氏名、生年月日、住所などの人定事項は特定されているので処理は比較的簡単に進む。
問題は、全くの無免許である。一度も運転免許を取ったことがないものを取り締まるのは
ある程度の捜査能力が要求される。
第一に人違いではないことを確認しなければならない。友人知人、家族に成りすましていないか身元をしっかり捜査することが誤認検挙を防止する大切な手続きである。
また、一度も運転免許を取得したことが無い者が、どうして車の運転ができるのか?この点も捜査しなければならない。
いつ、誰に教えられ覚えたのかなど、運転指導など幇助、教唆犯を視野に入れなければならないのである。
運転していた車は誰が所有するものなのかも捜査しなければならなり。被害届がでている盗まれた車ではないのか。車検はどうなっているのか。
エンジンキーは誰がどのように保管しているのか、など多くのことを捜査しなければならない。
まだまだ捜査しなければならない項目があり、それらを満たしてようやく故意犯としての無免許運転が立証できるのである。
よく、飲酒運転も無免許運転も運転の段階で故意であるという訴えを聞く。
問題はそこには過失の場合も多々あることだ。
いっそのこと法律を変えて理屈なしですべて処罰できれば国民にもわかりやすい法制度が完備できるような気もする。