飲酒運転は飲酒量にかかわらず絶対に許されるものではない。
理由の如何を問わず厳重に処罰されるべきだとも思う。
これは、飲酒運転を道路交通法違反として捉えると飲酒運転の事実が甚だしい法無視の危険性を有すると考えているからである。
ところが、飲酒運転で交通事故を起こすと考え方な少し変わってくる。
7月24日、広島ホームテレビニュース配信によると、7月24日未明、福山市で飲酒運転の軽トラックが車道の端を歩いていた男性会社員を跳ね意識不明の重体にさせる
重傷交通事故が発生した。
運転手は「近くのコンビニの駐車場で缶ビールを3本飲んで運転した。発見が遅れブレーキをかけたが間に合わなかった」と弁解している。
もちろんこの運転手の弁解は警察発表によるものだ。
さて、この警察発表をよく読むと
① 缶ビールを3本飲んで飲酒運転したこと
② 発見が遅れてブレーキを踏んだが間に合わなかったこと
を伝えている。
それでは事故の直接の原因はなんだろうか?
この警察発表によれば、事故原因は「発見遅れでブレーキを踏んだが間に合わなかったこと」になる。
飲酒運転事実は事故の直接原因ではないという意味合いを込めている。
ちょっと難しいだろうか。
「缶ビール3本飲んだ飲酒の影響で、歩行者の発見が遅れてしまいブレーキを踏んだが間に合わなかった」
となれば、事故の原因(発見遅れの原因)は飲酒したことである。つまり飲酒さえしていなければ早めに歩行者を発見することができ、適正にブレーキ操作をして事故を未然に防止することができたということになる。
改正された自動車運転死傷処罰法3条「危険運転致死傷罪」の新類型である
「アルコールや薬物の影響で正常な運転に支障を生じる恐れがある状態で自動車を運転」に該当するのかが問題である。
発見遅れでブレーキ操作が間に合わなかった交通事故は、別にアルコールを飲んでいない正常な運転手でも普通に起きている交通事故の形態であるから
飲酒していた事実が必ず事故の原因とは言えないのである。
この事件についても警察の捜査と検察庁の適用法令は強い関心がある。