2014年7月13日、北海道小樽市の海水浴場に遊びに来ていた高校の同級生3人の女性が、海岸から歩いて駅に向かう途中に、12時間以上も飲酒していた男が運転する乗用車に跳ねられ死亡した事件の初公判が6月29日行われた。
検察官が立証しようとする事実は、飲酒の影響で体がだるく、視界が不明瞭は状態であることをわかりながら車の運転を開始した。現場は見通しのよい直線道路で、事故は飲酒の影響がなければ理解できないといして危険運転致死傷罪の適用を求めた。
これに対して事故を起こした被告(弁護人)は事故を起こしたことを認めたものの、「酒の影響で、正常な運転が困難な状態で事故を起こしたわけではない。スマートフォンの操作をしていた脇見運転が原因で危険運転致死傷罪は成立せず、過失運転致死傷罪にとどまると反論した。
危険運転致死傷罪なら最高刑は懲役20年であるのに対し、過失運転致死傷罪の最高刑は懲役7年であるからその適用の可否は重要な争点である。
なぜ飲酒の影響で事故が発生したと端点に認められないのか?
飲酒していたから事故を起こしたんだろう、そう言いたくなる気持ちもよくわかる。
しかし、毎日の途切れること無く発生している交通事故のほとんどが
飲酒していない正常な判断力のある人が起こしている。
つまり飲酒していなくても事故が発生している現実がほとんどであるから
必ずしも飲酒したことが事故の原因とは言えないところに難しさがある。
また、飲酒運転したから必ず事故を起こすというものでもない。
飲酒運転をすると飲酒していない人よりは絶対に注意力が散漫になり事故を起こす危険性が増すことは当然である。
だが、その危険性が増すことだけをもって、飲酒していたから事故を起こしたんだとは言えないのである。
今回の事件では、被告は事故を起こした理由をスマートフォン操作の脇見が原因で、飲酒の影響ではないと主張しているのである。
その理屈が社会一般に通用するものななか、法廷の中で通用するものなのかが判断される。
注目の判決は7月9日の予定。