連日報道されている長野県軽井沢町のスキーバス転落事故。
毎日、少しずつ長野県警による捜査結果や国交省による調査結果が報道されている。
当社佐々木も各種メディア等でその都度、解説等を行っている。
1月20日は共同通信社の取材を受け、翌21日の各種新聞でコメントが掲載された。
写真は2016年1月21日、宮城県の地方紙、河北新報朝刊である。
まだまだ情報が不足しており正確なコメントはできない部分がある。
この当社ホームページのコラムで、佐々木なりの見解(あくまで私見)を述べる。
国交省が公開した事故直前の映像を見る限り運転手の居眠り運転は否定される。
ギアはニュートラルの位置であったことが確認された捜査結果があるが、転落横転時にギアが戻った可能性もあるが、今のところ走行中に何等かの原因でギアがニュートラルになったとしても
私の実務経験からも納得できる。
ギアがニュートラルであれば、エンジンブレーキや排気ブレーキは使用できないためそれなりに安定した制動効果に何等かの影響は与えたと思う。
しかし同時に、ニュートラルであるとエンジンの動力がタイヤに伝達されないのでアクセルを踏み込んでもスピードが出せない。
実際転落横転250m前に映像に記録されているバスの挙動はエンジンブレーキがしっかり効いていない状況と矛盾しない。
ブレーキの機械的故障は確認されず、またフェード現象も発生した痕跡は確認されず、長野県警の発表によればフェード現象は否定されている。
ではブレーキを踏みながらも十分に減速できなかった理由はなんであろうか?
ここが私の私見である。
私が過去に扱った案件の中にも実際にブレーキで十分減速できずに発生した事故が3件ある。
いずれも自家用車の話である。
空き缶がブレーキの後ろに挟まりブレーキはある程度踏み込めるのだがしっかりと奥まで踏み込むことができず減速不能になり事故が発生した事例がある。
また、土足厳禁車が流行ったころ、運転席の足元に置いていた靴がいつの間にかブレーキペダルの後ろに挟まり、やはりブレーキを十分に踏み込むことができず事故が発生した事例がある。
どれもブレーキランプは点灯するのだが、ブレーキの効果が十分に発揮できない状況になった。
今回事故を起こしたスキーバスが必ずそうなったというものではない。
ただ、積雪地に向かうバスの、たとえば雪下ろしのためのブラシや、あるいは長靴など(ほかにも要因はあるかもしれないが)が、
曲がりくねった碓氷峠を走行中に運転手の知らない間にブレーキペダルの裏側に移動し、ブレーキを踏みこんでも減速できなかったという考えも
考慮すべき推定であると思う。
横転によりあれほど運転席回りが激しく損傷しているので、運転席回りにどのような物が存在していたかは今ではわからない。
一日も早い事件の解決と再発防止策を願う。
15名の尊い命を絶対に無駄にしてはいけない。
当社にできることをしっかり考えたい。