5月2日、兵庫県警はひき逃げ事件の車両を特定したのにその後の事件捜査を放置したとして、飾麿警察署交通第1課の巡査長を虚偽公文書作成・同行使、犯人隠避の疑いで神戸地検に書類送検した。
巡査長は「仕事がたまり、事件を増やしたくなかった」と弁解している。
この事件は2015年9月、姫路市内で発生した軽傷ひぎ逃げ事件について、巡査長は被害者が目撃したナンバーから車種を割り出し1台に絞り込んだ。しかし捜査報告書には「該当者が43台あった」と虚偽の事実を記載し捜査の困難性を示していた。
しかし2015年12月、被害者自らが対象車両を発見したことから巡査長の事件処理放置が発覚した。
ところで報道発表によると、兵庫県警では逃走車両の運転手に対して、道路交通法違反(横断歩行者妨害)で反則切符(通称「青切符」)を交付したということである。
この反則告知の手続きは適正か?という質問が寄せられた。
県警とすれば全く処罰しないわけにもいかず、苦肉の策として反則告知をしたのだろう。
結論から言えば、直接の事故原因について反則告知する手続きは不適切である。
それが認められると、例えば一時不停止により事故を起こしてしまったら、一時不停止違反で反則告知してもらえれば処罰は反則金7000円、行政処分点数が2点で完結する。
赤信号無視で事故が起きたら、赤信号無視違反で反則告知してもらえれば処罰は反則金9000円、行政処分点数は2点で完結する。
その後、仮に相手方が死亡しても手続き上、運転手は既に反則告知として処分を受けているため、自動車運転致傷行為処罰法の被疑者として処罰するすることができなくなる。端的に言えば被害者の死傷程度に応じた適正な処罰と行政処分を与えることができなくなる。
ずっと昔の古い警察官は、時々現場で反則切符を切って処理していた時代もあったが、現在はそのような処理は行われていないと思う。
今回の事件では被害者が軽傷で、それ以上負傷程度が重くなる恐れもないなど、極めて特異な事例だと思う。
少なくても適正な事件処理とは言えない。でもまったく処罰しないわけにもいかない。それでやむを得ずとった処理手続きと言える。