2016.9.2名古屋地裁902法廷で行われた「道路交通法違反」の裁判傍聴に行った。
この事件は平成27年7月深夜、名古屋市南区の路上で鈴木登喜夫さんが自動車に轢過され死亡、運転手は逃走し一旦帰宅。その後現場に立ち戻り逮捕された「自動車運転過失致死並びに道路交通法違反」事件である。
事件の死亡事故部分(自動車運転過失致死罪)は既に刑が確定している。
この裁判の道路交通法違反とは、運転手の行為が「ひき逃げ」となるのかを争うものである。
名古屋地検は事件発生以来、3度運転手を不起訴処分(ひき逃げは処罰しない)としていた。
しかしご遺族の粘り強い申し出や多くの支援者のお力をいただき、名古屋地検は不起訴処分を撤回し、3年の時を経て道路交通法違反(ひき逃げ)部分の起訴を決めた。
当社はこの事件の中でご遺族の協力をもらいながら実験を行い自信を持って「ひき逃げを立証し運転手を罪に問える」という結論の調査報告書を作成した。
その調査報告書は刑事裁判の中で検察官から被告側弁護人に開示され、現在は同意・不同意の意見待ちとなっている。
名古屋地検検察官も本腰を入れて捜査に乗り出してくれた。
県警の捜査協力を得て当社同様の実験を行ってくれている。
実験結果について当社はまだ把握していない。
ところで今回の裁判では鈴木登喜夫さんが轢過される一部始終を目の前で見ていた目撃者の証人尋問が行われた。
目撃証言を聞いていて当社が行った実験結果は、目撃者が事件発生当日に見た轢過事故状況を忠実に再現していると確信した。
証言を聞いて被告運転手を死亡轢き逃げ事故の罪に問えるとした検察官の判断は正しいと感じた。
また目撃証言の中では、過去3度も不起訴とした目撃者に対する検察官取調べ状況が指摘された。
検察官主尋問で、検察官は過去の検察官取調べの方向性に誤りがあったことを指摘、証言させる結果になり、まさに身を切る思いで辛く勇気がいったことを察する。
敬意を表したい。
私も事件によっては古巣の県警捜査批判をする場面が度々あり、本当に苦しくなるからよくわかる。
しかしこうやって事件の真相が明らかになり、起訴不起訴、有罪無罪が正しく決まるなら私はそれでいいと思っている。
裁判はまだまだ続く。
写真は鈴木登喜夫さんのご遺族と名古屋地裁前で再会
閉廷後、検察官説明を受けほっと一息つく佐々木