酒気帯び運転

2012年07月26日 · 未分類

道路交通法第65条は酒気帯び運転について「何人、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と定めており、酒気帯び運転を禁止しています。一般的に言うところの飲酒運転を禁止している条文です。「車両等」ですから自転車も酒気帯び運転は禁止されています。ところが、酒気を帯びて運転すれば即、処罰(刑事上の責任、行政上の責任)されるかというと、そうではありません。道路交通法上では、一滴でも酒気を帯びて運転してはきけないと規定しているのですが、道路交通法第65条には罰則規定(刑事上の責任、行政上の責任)がないのです。信じられませんよね?処罰の対象となっているのは呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有して運転した時なのです。0.15ミリグラムという数値は道路交通法施行令44条の3に記載されています。そのため0.15ミリグラムに満たないアルコールを身体に保有して車を運転しても酒気帯び運転として処罰することができないのです。0.15ミリグラムと0.14ミリグラムの差異など全くありませんが、それが現在の法律です。
もし、0.15ミリグラム以下の数値であっても、外見上、呂律が回らない、千鳥足でふらつき立っていられない、という酔っ払いの状態であればこれを酒酔い運転(道路交通法第117条の2台1号)として処罰されるのは当然です。しかし一般的に健康な成人の場合、0.15ミリグラム以下のアルコール保有量で酔っ払いの状態になることは私の経験では見たことがありません。もちろん私の取り扱い経験が無いというだけで、本当にお酒に弱い方であれば0.15ミリグラム以下でも酔っ払うことが起こり得ることはあるでしょう。つまり酒酔い運転とはアルコール濃度の数値に関係なく、酔っ払いの状態であれば酒酔い運転としての責任を負うのです。逆に例えば数値上は0.8ミリグラムなどと高濃度のアルコール量を保有していても、酔っ払いの状態ではなく、言語態度や歩行能力が正常であれば、酒気帯び運転として責任を負うことになるわけです。
助手席の者や後部座席の者にシートベルトを装着させないで運転すると行政処分として1点が付加されますが、酒気帯び状態でも0.14ミリグラムでは1点も付加されないのです。
不起訴処分になっても刑事裁判で無罪事件になっても、「刑事処分と行政処分は別のものですから」という理由で、一度付加された行政処分が取り消されるに残り続けるという理不尽な話も全国で起きています。あくまで私の私的意見ですが、0.14ミリグラムという数値では刑事上の責任を負わせることができないのなら、そんな時こそ「刑事処分と行政処分は別ですから」と根拠付けてしっかりと酒気帯び運転相当の点数を付加してもらいたいと思います。
酒気を帯びても少しなら大丈夫と思って運転を開始した運転手が持つ危険性帯有は、0.15という数値にかかわらず道路交通社会にはとっては著しく危険な反社会的行為だと思います。

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