捜査書類偽造の動機

2012年08月20日 · 未分類

新潟県警三条署刑事課長(警部)の職にある県警幹部が、自分の評価成績を上げる目的で捜査書類を偽造していたことが報道されています。比較的軽微な事件で社会の表に出てこないような余罪事件を検挙したことにする手口で、検挙率を向上させていたということです。そしてこれらのことを部下の警察官に指示命令して、部下も嫌々ながらも応じていたのですから、やはり組織的な捜査書類の偽造事件ということでしょう。警察組織は厳格な階級社会で法令に基づく特別権力関係が組織の基盤です。公務員ですから部下は職務上、上司の命令に従う義務も課せられております。
よく「大多数の警察官は真面目で、犯罪など犯す人ではない、一部の警察官の不祥事で警察官全体が悪く評価されるのはおかしい」という意見を聞くことがあります。この意見は一般社会組織では通用するかもしれませんが、警察組織では通用しない場合の方が多いと思います。今回の新潟県警の事件で分かる通り、職務上上位の階級の者に捜査書類偽造を指示命令されると、末端の部下までその(不平不満を述べたとしても)指示命令に従って職務執行を行う組織構造だからです。
これは交通違反事件、交通事故事件などでも例外ではありません。監督責任を回避しようと部下の不適正事件処理を極秘に終息させようと組織上の幹部が判断すれば、他の職員は徹底して不適正処理は無かったという趣旨の公文書を作成します。検挙実績を上げろという指示命令があれば、徹底して検挙に向けた公文書を作成します。このようなことは行わないようにと言われていますが、まだまだ実際には起こっているのが現状で、おそらくこれは法令による階級組織という制度が深く関係していることですから、今後もなくなることはないと思います。
勘違いしないでください、私は本当に警察官はよくやっていると思っているし、警察という機関は無ければ絶対に国民が困る組織だと思っています。ただ、組織的不祥事は絶対にあってはならない、皆無が当然の機関であるからこそ国民の信頼と海外に誇れる日本の警察だと思っています。現状では組織的不祥事の絶無が期待できないことを危惧しているのです。
それにしても、新潟県警三条署の事件ですが、余罪事件の犯人とされた人物は気の毒です。
検挙率、これは治安のバロメーターなんでしょうか?
「警察白書」ほどいい加減、あてにならない統計はない、と今は幹部になった昔の仲間が言っていたことを思い出します。

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