悪質交通事故の罰則強化案

2013年01月14日 · 未分類

悪質な交通事故の罰則強化が課題となっていますが改正案が公開されました。飲酒、薬物、発作を伴う病気の影響で死亡事故を起こした場合は15年以下の懲役となる罪を新設するようです。無免許運転を危険運転致死傷罪の対象に追加するかについて「無免許自体が原因とは言えない」という理由で無免許運転での重大事故は危険運転致死傷罪が適用されないことになりそうです。無免許運転で人身事故を起こした場合は、単純無免許を規定している道路交通法よりも刑を重くする規定が新設されるようです。この他、飲酒運転の発覚を逃れる目的で現場から離れる行為などを防止する対策では12年以下の懲役を新設するとされています。
報道されている新聞によって改正法原案の記載にもまだばらつきがあるので確定していない部分もあると思いますが、「正常な走行に支障が生じる恐れがある状態での運転」とか「危険な速度で走行した場合」とかこの抽象的な表現方法がこれまでも法律の適用を困難にしていたように感じます。歩行者天国の道路で死傷事故を起こしたら速度などに関係なく危険な運転行為だと思うのですが、ここに危険な速度という条件が付されると10km/hでの死亡事故なら安全な速度での死亡事故で30km/hだったなら危険な速度での死亡事故ということになるのでしょうか?これらはTPOで異なるもので、速度などよりも保護されるべき法益は「歩行者の絶対安全領域」ですから、紛らわしい法律の適用条件は不要だと思います。
また、今回の罰則強化による抑止力の効果を疑問視する声や反対する有識者も数多くいるのも事実です。
この法律改正の目的は「悪質な交通事故の罰則強化」で、前提としていることは痛ましい交通事故が発生した場合です。社会が望んでいるのは痛ましい交通事故を発生させない安全安心な交通環境づくりだと思います。
私も法務省法制審議会で意見を述べさせていただいた手前、真剣に考えておりますがまだまだ道のりは遠い感じがします。しかし、被害者遺族の声を国がこれほど聞き入れて法律を改正してくれることは心強くも感じます。多くの方々の努力に敬意を表したいと思います。

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