各都道府県警察本部刑事部には科学捜査研究所というよく聞く部署があります。どのような業務をしているかは省略しますが、県警を代表して「鑑定書」という書類を作成します。
先日私が提出した調査報告書の中に、科学捜査研究所の鑑定書に疑問がある旨の内容を盛り込みました。当然依頼人から「本当にこんなことがあるのですか?」という疑問の質問がありました。科学捜査研究所の鑑定書に必ず不審点があるという結論では決してありません。正確な分析結果を記したものが大多数を占めるのは当然です。しかし、事件事故の経過に疑問をもって書類に目を通そうとするなら、「科捜研鑑定書だけは信用しよう」とか「実況見分調書は正確でしょ」といった視点は排除すべきだと思います。
2012年の夏頃(正確な時期は定かではありません)の報道で、和歌山県警察本部科学捜査研究所の職員が、実際いは鑑定を行わずに鑑定書に嘘の記載を繰り返していたという事実が報じられました。和歌山県警の調べではこの科捜研職員は10年以上ひき逃げ事件の塗装痕跡などの化学物質の分析や鑑定を担当していたのですが、実際には鑑定を行わずに関連資料のデータを流用して嘘の記載を繰り返していたということです。
さて、和歌山県警全体ではこの10年間にいったい何件の鑑定を必要とするひき逃げ事故が発生していたのでしょう?これは和歌山県警科捜研のみに起こったものなのでしょうか?どちらにしても和歌山県警科学捜査研究所で起こったことは、全国どこの都道府県でも起こり得る可能性は十分にあります。
誤解を招かぬように付け加えます。
私は最初からあらゆる書類を疑いの目で見ているわけではありません。素直に読み取ろうとした時に多くの矛盾が浮かび上がってくるのです。
科学捜査研究所の鑑定書
2013年01月15日 · 未分類
タグ :