富山市で2010年4月、会社役員の夫婦が殺害され自宅が放火された事件で、富山県警が当時の富山県警元警部補警察官を貸与した被疑者に対し、富山地検は7月24日、嫌疑不十分で不起訴処分とし身柄を釈放した。二人の人命を奪い、元警部補も犯行を自供して逮捕された元警察官が不起訴処分になるのは極めて異例。
富山地検によると、公判で有罪判決を勝ち取るだけの物証がなく、事件の状況と自供にも食い違いが生じていることが理由。そういう理由だと、捜査責任としてどこの機関に問題があったのかと考えると、どうしても第一次捜査権を有している富山県警の捜査が杜撰であったという結論にならざるを得ない。
そもそも、客観的物証の裏付け捜査に基づき犯罪事実を構成し、その上で取調べによる供述調書を作成することになるのだが、あまりに自供のみに頼った捜査が行われたことは否定できない。また、元警部補は拘留中に取材陣との面会に応じ「98パーセント不起訴と思っていた」と話していたという。
富山県警も十分な捜査を遂げ、逮捕状を請求して逮捕し検察官送致したことであろうが、どこに誤りがあったのかしっかり検証しその結果を公開して欲しい。
ゴミ置き場に捨ててあった自転車を乗り回していた高校生などは、自転車の持ち主が捨てた自転車だと言っても、なかば強引に被害届を作成させた上で高校生を占有離脱物横領の犯人として検挙するようなこともあるのに、自認している殺人事件を警察として証明ができないのである。
捜査が杜撰だった。