ちょっと関心ある報道を目にした。虚偽公文書作成罪に関するものだ。
事実と異なる逮捕時間や場所を捜査報告書などに書いたとして、兵庫県警は虚偽有印公文書作成などの容疑で、姫路署の警部補、巡査部長、巡査長を書類送致した。
兵庫県警監察官室によれば、巡査部長らは昨年5月に二人乗り原付バイクの少年を道路交通法違反で現行犯逮捕した。その際、逃走を防ごうとした巡査長が怪我をしたため、警部補の指示で逮捕事実を公務執行妨害に切り替えたが、捜査報告書のどには道路交通法違反の逮捕時間は場所を記載したまま、担当課に引き継いだというものだ。
この県警監察官室発表によると、警部補も巡査部長も巡査長も、あえて意図的に逮捕時間や場所の虚偽記載をしたものではない。道路交通法違反の事実から公務執行妨害の事実に変更する際に単純に逮捕時間と場所を道路交通法違反の事実に合わせたようである。いわば悪意の無い間違い程度の問題である。しかも間違った事実が記載された捜査報告書などは、他官庁である検察庁に送致される前に、警察署内の担当課に書類を引き継いだだけに過ぎない。
この事実だけで警察官の虚偽公文書作成が立件され、事件送致されるのであれば多くの現場の警察官は怖くてとても捜査報告書など書くことができなくなってしまう。
報道発表を読む限りではこれ以上を読み取るっことはできない。まして捜査の本質がわからない一般人には疑問も湧かないかもしれない。
この虚偽公文書作成罪が事件化されるに至った経過は、私の私見として次のように見る。
公務執行妨害罪の逮捕日時、場所と道路交通法違反の逮捕日時、場所が仮に誤りで同一になってしまった場合
何が問題になるであろうか?
答えは単純である。
逮捕とは身柄の自由の拘束である。ゆえに、
公務執行妨害罪で逮捕された被疑者(二人乗り原付バイクの運転手)が、同じ時間、同じ場所で二人乗りをして原付バイクを運転することなどできない。
(このような場合、どういった逮捕手続きが適正であるのかはここでは書かない。)
要するに、警部補の指示で公務執行妨害に切り替えて逮捕した、という捜査の経過に
虚偽性が強く疑われるのである。逮捕事実のストーリーに矛盾が生じるのである。
少年の弁護士がこの事実に気付き、捜査側に指摘したのであれば相当詳しい弁護士だと思う。
原付バイクに二人乗りする少年は明らかに違法行為で、看過しようなどと私は思わない。
また、いななる理由であれ現場の警察官が職務執行によって負傷することもあってはならない。
職務を執行している警察官に暴行を振るい、公務を妨害し傷害を与えるなどもってのほかである。
警察官の職務執行に意義があるのなら、暴行、暴力に頼らず
書面で訴えればいい。
しかし、警察官が都合により逮捕事実を変え、犯罪日時、場所を変更することも絶対に行ってはいけないと私は常々思っている。(あくまで私の持論である。)
二人乗りをした道路交通法違反と公務執行妨害の関係が
正しく捜査され、正確に報告されている書類で処罰を受け、救済も受けるものだと思う。
捜査書類に客観的事実と異なる虚偽事実が記載されていることは、許されてはいけない。