スリップ痕の交通事故調査

2012年04月02日 · 未分類

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右の写真のようにはっきりとしたスリップ痕が残っている交通事故現場の調査は正確な計測が大切です。このような現場では道路図面が正確でないと痕跡を正確に調査することはできません。ではどうやって正確な痕跡を図化できるか?ということを調査現場では考えます。官公庁で保管している道路台帳をあてにしたところですが、私の経験上、道路台帳も検証してみると意外と10年以上も前の道路がそのまま残ってたりしているのです。だから道路台帳をあてにしたりはしません。そうです、やっぱり自分でメジャーで計測するのが一番で、その結果を道路台帳と比べて図化を試みることにしてます。特に道路台帳は中央線や外側線、停止線、横断歩道などは記載されていませんので、こまめに計測するしか方法はありません。写真のようなスリップ痕が残っている交通事故現場ではセンターラインの長さ、道路幅員を計測して、完全な道路を作ってから初めてスリップ痕の長さと角度を図化していく作業となります。スリップ痕を図化する作業は痕跡を記載するもので、実際の交通事故発生のメカニズムを解明するためにはスリップ痕の特徴を何度も確認して、スリップ痕に込められている情報を細大漏らさず拾い上げなければなりません。写真の現場のように、まだ実際に路面にスリップ痕が残っているのであれば、より確度の高い情報が得られるのですが、実況見分調書に添付されている写真からでは、なかなか欲しい情報を見つけることはできません。
ところで、写真のスリップ痕ですが、どうして右側車線についているのでしょう?こういう事故調査は頭を悩ませます。しかしこれは現場の痕跡で、誰も否定できない事実ですから、誰がどんなことを言おうが、反論しようがこの痕跡を根拠にして合理的な事故の再現を図らなければなりません。
それにしても、急ブレーキ直前の運転手の心境を思うと、本当に必死の思いでブレーキを力一日踏んだことがわかります。何かを見て危険を感じた結果です。

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